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物価下落はエネルギー価格の下落が原因か

読売の記事より。
総務省が27日発表した3月の全国消費者物価指数(CPI)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合で99・6となり、前年同月に比べて0・3%下落した。CPI上昇率がマイナスとなったのは2か月連続で、下落幅は2月より0・2ポイント拡大した。

 昨年に比べて原油価格が低下し、ガソリンや灯油など石油製品価格が前年同月より1・4%下落したのが主因だ。


うーん。食料とエネルギー価格を除いた物価指数(コアコアCPI)は、前年同月比で-0.4%と、エネルギー価格を含む指数よりも大きく下がっているのですがねえ。

3つの消費者物価指数の内訳はこうなっています。
CPI=生鮮食品+生鮮以外の食料+エネルギー+その他
コアCPI=生鮮以外の食料+エネルギー+その他
コアコアCPI=その他

で今回、エネルギーは-0.5%下落、食料全体が+0.8%上昇、生鮮食品は+3.6%上昇となっており、コアコアCPIがコアCPIに比べて下落幅が大きいのは食料全体を除いているためです。

しかし、エネルギーや食料は変動が大きいので除いた方がノイズが少なくてよい、というのがコアコアCPIの主旨のはずで、そのノイズを除去しても-0.4%という事実を無視して「CPIの下落は石油製品価格の下落が主因」と言ってしまうのは嘘ではないにせよ「エネルギー価格が安定すればデフレは解消するんだな」という誤ったメッセージを伝えてしまうことにもなりかねないと思います。

もちろん、「利上げは慎重に」という記事の主旨には賛成です(私はむしろ、もういちど利下げした方がいいと思っていますが)。


ところで、コアコアCPIって過去(1970年以降)にさかのぼって計算されてるんですね。全然知りませんでした。
http://www.stat.go.jp/data/cpi/series/csv/j004.csv
↑の最後の方の列(excelで読むとFR)のところにあります。
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2007年05月01日 経済統計 トラックバック:0 コメント:0

マクドナルド賃金の国際比較 (山形vs池田論争)

今更おなかいっぱいとは思いますが、例の「山形vs池田論争」について、面白い論文を見つけたので紹介しておきます。

池田さんは限界生産性とPPPについての超簡単な解説
問題は、日本のウェイトレスの時給がなぜ中国より高いかということだが、これも答は同じだ。両方の限界生産性が違うのだ。ウェイトレスの限界生産性は、彼女を雇ったことによる売り上げ増であらわされる。それが中国より高いのは、日本人の所得が高いとか土地が高いなど、いろいろな理由があるが、それはすべてコーヒーの価格に(したがって限界生産性に)織り込まれているのである。その価格は需要と供給で決まり、「平均生産性」とは何の関係もない。

と解説。
一方、山形さんはそれでも賃金は平均的な生産性で決まるんだよ。の脚注にて
池田理論によれば、限界生産性で賃金は決まるから、日本のスズキの工員とカンボジアのスズキの工員は同じ給料になるはずだ。が、実際にはそんなことはない。この話も追求するとやっかいだから深追いはしないけれど、でもカンボジアのスズキの工員給料が日本のスズキの工員より圧倒的に低いのは、それがカンボジア全体の平均的な生産性にかなり左右されるからなんだよ。

と書いています。

これに関して、こんな論文があります:
Cross-country Comparisons of Wage Rates: The Big Mac Index(PDF)
Orley Ashenfelter and Stepan Jurajda
Princeton University and CERGE-EI/Charles University
October 2001

池田さんも引用している英Economist誌のビッグマック指数は有名ですが、この論文は各国のマクドナルドの従業員の賃金を比較し、さらにそれをビッグマック指数で調整したものを表にしています。つまりこの表をみれば
それぞれの国のマクドナルドで1時間働いて得た給料で何個のビッグマックが食べられるか?

がわかるわけです。

池田説によれば、賃金は限界生産性つまり、一人増やすことによるハンバーガー売上増で決まるということですから、国によってビッグマックの値段が違っていても、「時給で買えるビッグマックの個数」にはそれほど開きはない、ということが予想されます。一方山形説では、その社会の平均的な生産性によって賃金が決まってくるので、この数値は国によって大きく違っていても不思議ではないことになります。(2/22追加)

では結果を見てみましょう。table2に、2000年8月に於ける各国マクドナルドの時給(4)とビッグマックの価格(5)、およびその比率(7)が出ています(PDFを開く手間を省くために、この記事の最後にその表の写しを置いておきました)。

これを見ると、ビッグマック自体の価格はインドと日本でもせいぜい2倍しか違いませんが(日本の方が2倍高い)、賃金は26倍、ビッグマックの値段で調整しても13倍も違っています。日本人はマクドナルドで20分も働けば1個のビッグマックが食べられるのに、インドのクルーは4時間以上働かないと食べられないのです。

では、日本のマクドナルドの従業員はインドに比べると一人当たり13倍も多く客をこなすのでしょうか?もちろんそんなわけはありません。つまりこれは、限界生産性だけによって賃金が決定されているわけではない、ということを示しているのではないでしょうか。

それからもちろん、マクドナルドはインド人を搾取している!というわけでもありませんよ。念のため。要するに、インドではマックは庶民の食べ物ではないということですね。


Table 2: McDonald's Cashier or Crew Wages and Big Mac Prices, August 2000


Estimated hourly wage rateReported BigMac priceExchange Rate per $1$ hourly wage rate$ BigMac priceBigMacs per hour of work
Country (1) (2) (3) (4) (5) (7)
India 12.00 52.00 41.3 0.29 1.26 0.23
Columbia 1,200 5,300 2,181 0.55 2.43 0.23
China 3.50 9.80 8.28* 0.42 1.18 0.36
Indonesia 5,000 14,500 7,945 0.63 1.74 0.36
Venezuela 900 2,200 689 1.30 3.19 0.41
Thailand 23.50 55.00 41.01 0.57 1.34 0.43
Philippines 25.00 54.90 44.50 0.56 1.23 0.46
Russia 14.00 29.50 27.69 0.51 1.07 0.47
Brazil 1.61
1.79* 0.89 1.65* 0.54
Argentina 1.50 2.50 1.00 1.50 2.50 0.60
Malaysia 3.00 4.30 3.80 0.79 1.13 0.70
Korea 2,100 3,000 1,115 1.88 2.69 0.70
Turkey 1,133,000 1,500,000 647,335 1.75 2.32 0.75
Czech Rep. 45.00 55.00 38.74 1.16 1.42 0.82
Poland 5.01 5.80 4.36 1.15 1.33 0.86
Taiwan 66.00 70.00 30.00 2.20 2.33 0.94
Singapore 4.00 3.20 1.73 2.31 1.85 1.25
Hong Kong 14.50 10.20 7.80 1.86 1.31 1.42
Italy(2001) 10,000 4,900 1,668 6.00 2.94 2.04
UK 4.00 1.90 0.63* 6.35 3.02 2.11
Germany 11.25 4.99 2.11* 5.33 2.36 2.25
Canada 6.95 2.89 1.54 4.51 1.87 2.40
USA 6.50
1.00 6.50 2.51* 2.59
Sweden 65.00 25.00 9.19 7.07 2.72 2.60
Belgium 304.35 115.00 44.11 6.90 2.61 2.65
France 42.02 18.50 7.07* 7.12 2.62 2.72
Japan 850 280 110 7.73 2.55 3.04

Note: First two columns in local currencies
* Estimate based on the Economist.The correlation between the reported McKinsey and Economist Big Mac prices from April 2000 is 0.99

(2/22 ちょっと文章書き足し、「BigMac」を「ビッグマック」に統一。
あと、はてなブクマで「どこで拾ってきたんだろう?」という疑問があったのでお答え。ぐぐったら見つかりました。
論文自体はUnpublishedのようです。もったいないですね。)

2007年02月21日 経済統計 トラックバック:2 コメント:1

2005年基準消費者物価発表、まだデフレ

本日は7月分の消費者物価指数の発表の日ですが、今月分から基準年が2005年(平成17年)に変更されました。

物価指数を計算するときには、例えば単純にリンゴの価格と靴の価格をそのまま足すのではダメで、それぞれのモノがどれだけの数量売れているかに従って重み(ウエイト)をつけてやる必要があります。

消費者物価指数を求める場合には、ウエイトは基準年のものに固定されます。つまり、基準年の各品目の価格に基準年のウエイトを掛けて足したものと、指数計算時の各品目の価格に基準年のウエイトを掛けて足したものの比が消費者物価指数です。

この方式は、基準年から離れていくに従って誤差が大きくなります。例えば、基準年(先月までは2000年)のウエイトがブドウ0.7、モモ0.3だったとしましょう。6年後にブドウの価格が50%上昇、モモの価格が50%下落したとすると、2006年の指数は1.5*0.7+0.5*0.3=1.20と、20%も物価上昇したことになります。

しかし、仮にウエイトを調査した直後にブドウの人気が下落して、ウエイトがブドウ0.3、モモ0.7になっていたとしますと、本当の2006年指数は0.80となってしまい、-20%の物価下落ということになります。

一般に、みなが買うようになったものは価格が下落していることが多いので、より近い年を基準として採用すると、指数は低めになることが多いようです。そのため、本当にデフレが終わったのかと疑問を抱いている私のような人間は、基準年改訂された本日発表の指数に注目しているわけです。

では、結果を見てみましょう。

(1) 総合指数は平成17年を100として100.1となり,前月比は0.3%の下落。前年同月比は0.3%の上昇となった。

(2) 生鮮食品を除く総合指数は100.1となり,前月比は0.1%の下落。前年同月比は0.2%の上昇となった。

と、前年同月比はそれでもまだプラスです。しかし安心してはいけません。これらには石油などエネルギー価格が含まれております。 表1-2 10大費目指数(全国)-変化率の中の「食料およびエネルギーを除いた総合」(以下、コアCPIと呼ぶ)の前年同月比を見てみますと、

















年月コアCPI(前年同月比)
平成17年7月-0.4
8-0.5
9-0.3
10-0.4
11-0.1
120.0
18年1月 -0.7
2-0.5
3-0.5
4-0.6
5-0.5
6-0.4
7-0.3


と、まだまだマイナスが続いている、つまりデフレであることがわかります。

2000年(平成12年)基準のコアCPIは、昨年12月以降ずっと0.1~0.2%とわずかながらプラスを維持していました。ですから基準年改訂後でもせいぜい-0.2%ぐらいかなと予想していたのですが、かなり大きい誤差ですね。

まだまだデフレが続いている中で量的緩和解除のみならずゼロ金利解除までやってしまった日銀はさてどう反応(言い訳)しますかね?いや、心やさしいマスコミが多いからきっと何の問題もないでしょう。下の記事のようにコアCPIなんて項目は見てもいないようですし。

7月の消費者物価0.2%上昇、脱デフレ来月にも認定(日経)より:

総務省が25日発表した7月の全国消費者物価指数は値動きの激しい生鮮食品を除くベースで100.1となり、前年同月よりも0.2%上昇した。7月公表分から調査品目を入れ替えた基準改定によってプラス幅が縮小したものの、物価は引き続き上昇基調となった。日本経済はデフレからの脱却がほぼ確実となり、政府は早ければ来月中旬に脱デフレを認定する。

2006年08月25日 経済統計 トラックバック:3 コメント:1

国民経済計算の歴史的資料

ESRIに、昭和30年以前の国民経済計算の資料が公開されています。

おかげで、以前実名の方の日記に書いた疑問が、この資料の122-123ページで解消されました。「虚無への供物」の時代はたしかにデフレ気味のようです(持続的ではないので厳密にはデフレとはいえないかも)。

同じ資料で、戦後のインフレや昭和恐慌のデフレ(の最後の方)も観測できます。

なお資料はスキャナで読みとったままの状態ですが、できればマシンリーダブルな形式に変換してほしいですね。手書きのものもあるのでOCRで自動的に変換するのは無理かもしれませんが。

2006年08月23日 経済統計 トラックバック:0 コメント:0

国内物価と輸入物価の乖離

このエントリは、bewaadさんの所の以下のコメントに始まるひろさんと銅鑼衣紋さんのやりとりへのコメントです。

物価変動を考慮する時にエネルギー価格を除去するのが妥当なのか、少し疑問に思っています。
たしかに気候の変動で価格が上下することがあるので、その観点から見れば妥当だと思います。が、昨今言われているように(正しいかどうかはわかりませんが)需給の締りや、投機(これは別?)によりエネルギー価格が上昇した時には、考慮に入れるべきだと思うのですが、いかがでしょうか?

内閣府の発表しているGDPデフレータを見てください。 これは国内総生産の物価変動を示す指標ですが、同じ表の中に輸入物価デフレータも出ています。

上で示したリンクはCSV形式なので、Excelが使えない環境の人のためにHTMLに変換した表も置いておきます。

で、この国内総生産デフレータと、輸入デフレータの値をとりだしてグラフにプロットしてみるとこうなります(クリックで大きい表に)。

GDP deflator graph

赤い線がGDPデフレータ、緑の線が輸入物価デフレータです。最近の輸入物価は原油価格上昇を反映して何と年率13%というかなりの高インフレとなっていますが、国内物価がそれにつられて(転嫁されて)上昇しはじめているようには見えません。

これは昨年12月までの状態で、今年になって国内物価も上昇しはじめた可能性もありますが、それにしてもいきなり金融を引締める必要があったとは思えませんね。

(追記)なおCPIについてはハリ・セルダンになりたくて - ここ8年間の消費者物価指数についてにグラフが掲出されております。

(4/5追記)銅鑼衣紋さんの助言に従い、X-12 ARIMAをつかって国内デフレータの方は季節調整したものに変えました(オプション指定なし)。輸入デフレータの方はそのままです。

2006年03月24日 経済統計 トラックバック:0 コメント:4

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