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中国の人民元改革

梶ピエールさんのblogで紹介されていた朝日新聞シンポジウム「人民元改革の行方と日本・アジア」を読んでみました。

メインの中国人民銀行の通貨政策委員である余永定氏の講演は、共産圏の人間とは思えぬじつにまっとうな内容。オックスフォードで経済学を学んだということなので当然でしょうが、日本の通貨政策にたずさわる人達が奇妙な経済学ばかり語っているのとくらべると非常にうらやましい限りです。

私の友人でもある、尊敬されている日本人エコノミストは、02年後半という早い時期に、中国がデフレを輸出しているとの批判を始めました。でも日本は03年、04年に中国に対する輸出増で大きな利益を得たのです。

という指摘など、昔の苺経済板での中国発デフレ議論を思いだして苦笑してしまいました。

ただし、その後の米経常赤字削減への処方箋

米国が金利を引き上げ、財政赤字を削減すれば、内需が減少する結果、為替レートにかかわらず米国の経常赤字は減るでしょう。

には疑問。経常赤字を減らせたとしても不況になってしまったら意味がない。私は「金利を下げてドル安にし、同時に増税して財政赤字を減らす」のが正解だと思います。これなら景気に対しては中立的ですし、為替レートと貯蓄・投資バランスの両方を同時に変えるので経常収支を改善する方に向かうと思われます。

さて、梶ピエールさんが「そのあとのパネルディスカッションがくだらなすぎ」と書いているとおり、余氏と渡辺氏以外には専門家がいないみたいで、なんだか世間話みたいになっています。ついこの間まで世界企業のトップだった出井氏ですら、通貨政策に関してはちょっと詳しいサラリーマン程度の内容… でも、その出井氏の質問のおかげで、余氏から以下のコメントが引き出せたのはGJでした。

出井さん、非常にすばらしい質問で重要な質問だったと思います。第一に、中国の貯蓄率は投資率を上回っています。中国の貯蓄はGDPの50%くらいです。投資は45%くらいで、貯蓄超過です。このことは、中国が資本輸出国であることを意味します。中国は貧しい国なのに、資本輸出国なのです。全体としてみると、中国は資本の純輸入国ではなく、純輸出国なのです。

ご存じのように、中国には多くの外国からの直接投資が入っていますが、同時にそれ以上の額の米国の財務省証券を購入しているのです。中国は金持ちの外国から高い利回りのお金を借りています。15%、20%という高い収益性がなければ誰も中国に投資しません。その一方で、中国はお金をどう使ってよいかわからないのです。したがって、3-5%の利回りの財務省証券を買うほかないのです。

苺掲示板やbewaadさんとこにも以前書きましたが、アメリカは中国のおかげで損していると文句をつけているけれど、実際はアメリカが安い金利で中国や日本から米国債という形でお金を借り、その金を減税という形で民間に流し、中国に直接投資の形で貸し出して、高いリターンを得ているという図式がここにはある。結局中国の方が損しているわけですね。一方、アメリカは対外債務が何兆ドルにも達しているのに、支払いより受けとりの方が多い。うまくやってるわけです。

なんでこんなことになるのかといえば、中国国内では金融機能が満足に働いておらず、外国から外貨で借りる方が手っ取り早いという状況がひとつの原因であると説明されています。そしてその結果、資本輸出国でありながら、重い対外債務を負っているという歪んだ形になっている。

まあ、さっさと変動相場に移行して、資本移動の制限をやめてしまえばこんなことは起こらないわけで。固定相場にまだ未練があるのかな?

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2005年11月25日 未分類 トラックバック:0 コメント:6

cloudyさん、はじめまして。朝日のシンポジウムですが、特に莫邦富氏がことあるごとに「世間知」を振り回すのには「やめてくれ」という感じでした。この人は昔はちゃんとした取材に基づいた仕事をしていたのですが、今は全然ダメですね。
 中国が資本の純輸出国であるにもかかわらず海外からの資金流入に頼っているのは、ひとえに低金利政策をとるかたわら銀行信用に強い規制を加える実質上の信用割当てを採用しているからです。この体制は90年代に入ってからのもので、80年代に財政支出の代わりに政策的な銀行貸出を通じて地方に資金がばら撒かれ、効率の低い国内資本投資が行われたことの反省によるものですが、その代わり外貨準備が膨れ上がってしまったわけです。まだまだ国内資本の整備が必要であるのにあまった資金をアメリカ国債に投資をしているというのは確かにばかげた事態ですが、為替制度だけでなく国内の金融市場の改革が行われない限りこれは改善されないでしょう。私のブログでもとりあげましたが、一部のエコノミストが低金利を是正することにこだわっているのもこのゆがみを何とかしないといけない、という問題意識があるわけです。

2005年11月29日 梶ピエール URL 編集

梶ピエールさん御本人からコメントがいただけるとは恐縮です。
中国の事情は外からは見えないのでblogは大変勉強になります。

ところで、国内の金利を上げずに規制によって貸し出しを減らすという苦肉の手段に出たのは、結局中国政府が完全な金融政策の自由を持っていないが故ではないのでしょうか?つまりトリレンマ問題ですが。
もしそうだとすると、金利を正常なレベルに引き上げるためには、まず変動相場制に移行する必要があるのではないかと。

2005年12月02日 cloudy URL 編集

>結局中国政府が完全な金融政策の自由を持っていない
・・というのは、変動相場制を維持するために金融政策に縛りがかけられている、という趣旨だと思いますが、むしろ実態としては「中央銀行の独立性が確保されていない」「債券市場・インターバンク市場ともに十分に育っていないので結局数量規制に頼るしかない」という要因のほうが重要だったと思います。
 要するに、金利水準の調整・為替相場制の改革・効率的な市場の育成、といった課題をある程度同時進行で進めていかざるを得ないのが今の中国だということになるのでしょうね。

2005年12月02日 梶ピエール URL 編集

ありがとうございます。
やはり先進国と比べると金融制度はまだまだなのですね。
香港が大陸と融合してそこらへんを補完するのかと思っていましたが。

2005年12月04日 cloudy URL 編集

お邪魔します(改行ご容赦)。

>まあ、さっさと変動相場に移行して、資本移動の制限をやめてしまえばこんなこと
>は起こらないわけで。固定相場にまだ未練があるのかな?

 かつて江戸時代「商は詐なり」と言った人がいました。例えば「100円で仕入れて
120円で売る」行為を”詐欺”だという事で、要するに「商業の価値」というものを全く
認めていなかったわけです。中国は今でも「経済それ自体」というのを認めず、「政
治に服するべきもの」と考えているのではないでしょうか。

2005年12月21日 ブロガー(志望) URL 編集

>まあ、さっさと変動相場に移行して、資本移動の制限をやめてしまえばこんなことは起こらないわけで。固定相場にまだ未練があるのかな?

 中国にとっては固定相場である方がメリットがありますから,そうさせるように日本側から圧力をかけない限りそうなりませんよ。
 アメリカの民主党は対中制裁法案を準備していますが,あれは本来,日本こそがやらなければならないことです。
 財務省に提案したのですが,多分,読みさえしていないでしょう。http://www15.ocn.ne.jp/~value/jinmingen/kansaseikyuusyo.htm

2006年10月02日 金子吉晴 URL 編集












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