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2005年基準消費者物価発表、まだデフレ
本日は7月分の消費者物価指数の発表の日ですが、今月分から基準年が2005年(平成17年)に変更されました。
物価指数を計算するときには、例えば単純にリンゴの価格と靴の価格をそのまま足すのではダメで、それぞれのモノがどれだけの数量売れているかに従って重み(ウエイト)をつけてやる必要があります。
消費者物価指数を求める場合には、ウエイトは基準年のものに固定されます。つまり、基準年の各品目の価格に基準年のウエイトを掛けて足したものと、指数計算時の各品目の価格に基準年のウエイトを掛けて足したものの比が消費者物価指数です。
この方式は、基準年から離れていくに従って誤差が大きくなります。例えば、基準年(先月までは2000年)のウエイトがブドウ0.7、モモ0.3だったとしましょう。6年後にブドウの価格が50%上昇、モモの価格が50%下落したとすると、2006年の指数は1.5*0.7+0.5*0.3=1.20と、20%も物価上昇したことになります。
しかし、仮にウエイトを調査した直後にブドウの人気が下落して、ウエイトがブドウ0.3、モモ0.7になっていたとしますと、本当の2006年指数は0.80となってしまい、-20%の物価下落ということになります。
一般に、みなが買うようになったものは価格が下落していることが多いので、より近い年を基準として採用すると、指数は低めになることが多いようです。そのため、本当にデフレが終わったのかと疑問を抱いている私のような人間は、基準年改訂された本日発表の指数に注目しているわけです。
では、結果を見てみましょう。
と、前年同月比はそれでもまだプラスです。しかし安心してはいけません。これらには石油などエネルギー価格が含まれております。 表1-2 10大費目指数(全国)-変化率の中の「食料およびエネルギーを除いた総合」(以下、コアCPIと呼ぶ)の前年同月比を見てみますと、
と、まだまだマイナスが続いている、つまりデフレであることがわかります。
2000年(平成12年)基準のコアCPIは、昨年12月以降ずっと0.1~0.2%とわずかながらプラスを維持していました。ですから基準年改訂後でもせいぜい-0.2%ぐらいかなと予想していたのですが、かなり大きい誤差ですね。
まだまだデフレが続いている中で量的緩和解除のみならずゼロ金利解除までやってしまった日銀はさてどう反応(言い訳)しますかね?いや、心やさしいマスコミが多いからきっと何の問題もないでしょう。下の記事のようにコアCPIなんて項目は見てもいないようですし。
7月の消費者物価0.2%上昇、脱デフレ来月にも認定(日経)より:
物価指数を計算するときには、例えば単純にリンゴの価格と靴の価格をそのまま足すのではダメで、それぞれのモノがどれだけの数量売れているかに従って重み(ウエイト)をつけてやる必要があります。
消費者物価指数を求める場合には、ウエイトは基準年のものに固定されます。つまり、基準年の各品目の価格に基準年のウエイトを掛けて足したものと、指数計算時の各品目の価格に基準年のウエイトを掛けて足したものの比が消費者物価指数です。
この方式は、基準年から離れていくに従って誤差が大きくなります。例えば、基準年(先月までは2000年)のウエイトがブドウ0.7、モモ0.3だったとしましょう。6年後にブドウの価格が50%上昇、モモの価格が50%下落したとすると、2006年の指数は1.5*0.7+0.5*0.3=1.20と、20%も物価上昇したことになります。
しかし、仮にウエイトを調査した直後にブドウの人気が下落して、ウエイトがブドウ0.3、モモ0.7になっていたとしますと、本当の2006年指数は0.80となってしまい、-20%の物価下落ということになります。
一般に、みなが買うようになったものは価格が下落していることが多いので、より近い年を基準として採用すると、指数は低めになることが多いようです。そのため、本当にデフレが終わったのかと疑問を抱いている私のような人間は、基準年改訂された本日発表の指数に注目しているわけです。
では、結果を見てみましょう。
(1) 総合指数は平成17年を100として100.1となり,前月比は0.3%の下落。前年同月比は0.3%の上昇となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は100.1となり,前月比は0.1%の下落。前年同月比は0.2%の上昇となった。
と、前年同月比はそれでもまだプラスです。しかし安心してはいけません。これらには石油などエネルギー価格が含まれております。 表1-2 10大費目指数(全国)-変化率の中の「食料およびエネルギーを除いた総合」(以下、コアCPIと呼ぶ)の前年同月比を見てみますと、
年月 コアCPI(前年同月比) 平成17年7月 -0.4 8 -0.5 9 -0.3 10 -0.4 11 -0.1 12 0.0 18年1月 -0.7 2 -0.5 3 -0.5 4 -0.6 5 -0.5 6 -0.4 7 -0.3
と、まだまだマイナスが続いている、つまりデフレであることがわかります。
2000年(平成12年)基準のコアCPIは、昨年12月以降ずっと0.1~0.2%とわずかながらプラスを維持していました。ですから基準年改訂後でもせいぜい-0.2%ぐらいかなと予想していたのですが、かなり大きい誤差ですね。
まだまだデフレが続いている中で量的緩和解除のみならずゼロ金利解除までやってしまった日銀はさてどう反応(言い訳)しますかね?いや、心やさしいマスコミが多いからきっと何の問題もないでしょう。下の記事のようにコアCPIなんて項目は見てもいないようですし。
7月の消費者物価0.2%上昇、脱デフレ来月にも認定(日経)より:
総務省が25日発表した7月の全国消費者物価指数は値動きの激しい生鮮食品を除くベースで100.1となり、前年同月よりも0.2%上昇した。7月公表分から調査品目を入れ替えた基準改定によってプラス幅が縮小したものの、物価は引き続き上昇基調となった。日本経済はデフレからの脱却がほぼ確実となり、政府は早ければ来月中旬に脱デフレを認定する。
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2006年10月11日 編集
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2006年08月25日 Economics Lovers Live
詳しくはcloudyさんのエントリをご参照ください。 しかしcloudyさん他ご指摘の通り、新聞見出しのミスリーディングさ加減には本当に腹が立ちますね。今朝の日経も見出しだけ見たらデフレから脱却したかのように読めるわけですよ。 こいつらもうわざとやってんだろうなあと2006年08月27日 svnseeds’ ghoti!
[BOJ][economy]CPI基準改定についての日銀の言い訳
タイミングを失してCPI基準改定そのものは取り上げられなかったのですが、cloudyさんのエントリにおいて丁寧に説明されているので、まずはそちらをご覧いただければと思います。cloudyさんが告発されているように、日銀はデフレ下で金融引締めに転ずるという暴挙をしたわけ2006年08月30日 bewaad institute@kasumigaseki